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54巻3号

【54巻3号】

 

表題 日常の保育における子どもの最善の利益を護る保育者の援助のあり方 (特集論文:子どもの最善の利益を考慮する保育)

著者 山田 陽子

巻号・頁・年月 54巻3号, 231-241, 2016.12.

要旨 本論の目的は,日常の保育における子どもの最善の利益を護る保育者の援助を明らかにすることである。そこで本論では,実践研究により,障碍のある子ども一人ひとりが集団の中にあって,保育者と周りの子どもと環境と関わる中に現れている,その時点での発達の姿とそこから引き出される保育者の援助のあり方について,次のような6つの視点「1.子どもと保育者の受容関係を作る中で園を子どもの居場所にする,2.保育者との信頼関係を作り,周りへの視野を広げる意欲を育む,3.その子どものペースを大事にしながら自分で考えて行動することを励ます,4.自分の好きなことと周りの子どもの好きなことがつながる喜びを支える,5.周りの人と一緒の生活と自分の生活作りとをつなげて生きることを支える,6.保育者間の同僚性を発揮して保育者全員で共同して保育する」で考察する。

 

キーワード:子どもの最善の利益 受容関係 信頼関係 保育者の同僚性

 

 

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表題 幼稚園教育における子どもの成長発達を考慮する親支援の事例研究 ―交換日記にみる母親の  

障害受容の過程―(特集論文:子どもの最善の利益を考慮する保育)

著者 虫明 淑子・ 髙橋 敏之

巻号・頁・年月 54巻3号, 242-253, 2016.12.

要旨 本論では就園と同時期に子どもの発達障害の診断告知を受けた母親と教師との間で行った交換日記の記述から,1 年間の母親の障害受容の過程を明らかにした。量的分析の結果から,母親が肯定感情を高めた時期は,1 学期と 2 学期後半であると特定した。さらに質的検討を加えると,母親の障害受容が促進した要因は,①ペアレントメンターの効果,②子どもの目に見える成長,③子ども理解と問題行動への対応力,④非言語のやりとりにおける成長の確認,等が確認できた。母親が主体的に障害受容を進められるようになるためには,障害受容初期に接見した支援者の役割は最重要である。

 

キーワード: 交換日記 母親 障害受容 幼稚園教育 親支援 

 

 

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表題 保護者と保育者の協同的な学び ―認定こども園における保護者会の事例から―(特集論文: 

子どもの最善の利益を考慮する保育)

著者 島津 礼子

巻号・頁・年月 54巻3号, 254-264, 2016.12.

要旨 本研究では,子どもの最善の利益につながる保護者と保育者の協同的な学びを明らかにするた 

めに,ある認定こども園の保護者会に着目した。保護者と保育者による協同的な学びを分析するための理論的枠組みとして,ロゴフの「導かれた参加」,「徒弟制」,「参加による専有」という 3 つの概念を用いた。これらの概念は,社会文化的活動を個人間,個人とコミュニティ間,個人内の異なる視角から捉え,協同的な学びの全体像を明らかにするものである。

保護者会が再編されてから現在までの資料,園長,保護者へのインタビューデータを元に分析した。結果として,保護者と保育者は異なる子育て観を持ち,保護者会の再編の過程において互いに理解や学びを得ていることが明らかになった。最終的に,KJ 法により両者の協同的な学びを表す概念図を作成し,協同的な学びが支援の枠組みを変える可能性を示唆した。

 

キーワード:  認定こども園 保護者会 ロゴフ 協同的な学び 子どもの最善の利益

 

 

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